
掌や指にできた無数の水泡の酷さにまいってしまい「このままではらちが明かない!」と、アトピー性皮膚炎に悩んでいた幼少期の頃よりお世話になっている調剤薬局に症状を話した。
異汗性湿疹/汗疱-カンポウ-はぶり返す?
「異汗性湿疹ですね」
「いかんせいしっしん?」
保険適用外でつくってもらったその薬を塗ると、水泡は2~3日でで乾き、腫れやむくみもおさまり始めた。けれど1週間も経てばまたぶり返す。
繰り返してできる水泡と保険適用外の薬の処方に、お財布からちいさな悲鳴が上がった。又、中国からやってきた「未知の肺炎」について雲行きの怪しい噂があちこちで散見されはじめた。
もうこれ以上、保険適用外のお薬で気休めに間に合わせている場合ではないのかもしれない。
皮膚科医の見解~異汗性湿疹/汗疱が発症した原因
水道水に触れただけでも掌が乾燥してしまうタイプ。とはいえ、子どもの頃にアトピーに悩んだことがあるけれど、今ではとくだん問題ない。あくまでも掌のみ乾燥しやすいというだけだ。
手を洗ったあとはハンドクリームを必ずしっかりと塗り込んでいた。お風呂上りには化粧水をたっぷり塗布してから尿素クリームを塗ったくって、綿の手袋をはめて眠っていた。
洗い物をする時には勿論必ず、ゴム手袋を着用する。ハンドケアにはぬかりがなかった。
――もしかすると、わたしの鼻は高くなっていたのかもしれない。お手入れは決してサボっていないんですよ、と自慢げだったのかもしれない。
目の前のおじいちゃん先生は、困った娘を説得するかのように目じりに優しいシワを寄せた。
- 本来、掌から出るべき汗がクリームや手袋で蓋をされて出られなくなって水泡になってしまっているんです。
- 汗疱/異汗性湿疹はわりと汗かきの人がなりやすいんだけど、あなたの場合は違うね。足の裏も汗かかないみたいだしね。
――処方された2週間分の3つの薬は果たして効くのか? 外した手袋を上着のポケットにねじこんで家路につく。
寝室のベッドわきにあるチェストの上段右の引き出しを開けると、百円ショップで買いためた綿の手袋が20セット、出番はまだかと顔を覗かせていた。
寝室のベッドわきにあるチェストの上段右の引き出しを開けると、百円ショップで買いためた綿の手袋が20セット、出番はまだかと顔を覗かせていた。